2013年1月28日月曜日

プチ同窓会

京都造形芸大時代のクラスメイトが開業記念?ということで、JR京都駅ビルにあるレストランで食事会を催してくれました。
多忙な中、駆けつけてくれたのはライブスコープデザイン事務所の岡本順子さんと、冨家建築設計事務所の冨家裕久さん。二人とも設計事務所を主宰して活躍されています。同業種のセンパイとしてありがたいアドバイスを多々賜りました。経営者ってやることがいっぱいあってタイヘン。
ランチタイムだけでは積もる話が尽きずあえなくタイムオーバー。
そこで定期的に集まって勉強会をしよう、ということになりました。
それぞれの得意分野を相互に補完して切磋琢磨出来ると思います。
第一回目は2月19日の予定。今から楽しみです。
同じ釜の飯を食った仲間はやはり頼りになります。



応急危険度判定士の養成講座


地震被災建築物応急危険度判定士の養成講座に行って来ました。
奈良県文化会館で行われて受講者はざっと100名ほどでしょうか。



これは大地震などの後、現地にボランティアで派遣されて、被災した建築物を実地で調査し、その後に起こるかもしれない余震などによる倒壊や崩落、落下の危険性について暫定的に判定して人命に関わる二次的災害を防止する資格を得るためのものです。


この判定によって建築物の外観を目視して、「調査済」、「要注意」、「危険」の三段階に振り分けて調査票をその建築物の見やすい箇所に掲示して居住者をはじめとした一般人に状況を知らせます。
阪神淡路大震災や東日本大震災でも大きな効果を挙げたそうです。


万が一の災害時に微力ながら自分の技能を活かして困っている人の役に立つ準備が出来ました。

2013年1月21日月曜日

北欧輸入雑貨店タイガー

大阪心斎橋はアメリカ村にある北欧はデンマーク発のオシャレな雑貨が安くで買えるタイガーに行ってきました。遅ればせながら。
19時近くに行ったにも関わらず、店内はものすごい混雑。



オープン直後に繁盛しすぎて一旦閉店になったというのも頷ける勢いです。

商品の展示什器はアイランド型の腰までの高さのものが多く、フロア全体が見渡せます。狭さを感じさせなような工夫でしょうか。

北欧らしくどこか温かみのある素材感を活かしたシンプルなデザインの生活雑貨がほとんどの商品、数百円で売られていました。これは流行るのもナットク。
インテリアに使えそうなものでは陶器製の引き手が引き出し家具や収納の扉にアクセントで使うのに良さそうでしたよ。
小さいボルトでねじ込むだけなので手持ちの家具でも簡単に交換できそう。
次に人が少ない時に行って吟味して何個か買ってこよう。

とりあえず、今回のお買い物では細君が洗面所用にペダル付きの小柄なダストボックスを購入。800円ナリー。


2013年1月18日金曜日

「ま」


自宅から1kmほどのところに添御県坐神社(そうのみあがたにいますじんじゃ)があります。
とても好きな神社です。




その周辺は古い集落と田んぼが多く、車もあまり来ない落ち着いた環境なので気分転換によく散策に出かけます。
また奈良に住むようになってから休みの日にはこの神社をはじめ奈良県下にたくさんある寺社仏閣や旧跡をよく訪ねるようになりました。


「なぜそこにあるのか」

先日読んだ神社の配置について研究されているこの本はサブタイトルでこう問いかけています。
いや、とてもおもしろい本でした。

神社の系譜 なぜそこにあるのか (光文社新書)
宮元 健次
光文社
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『「八百万の神」と言い表されるように、日本には多様な神が祀られている。元来、神社には神の家である本殿はなく、神奈備あるいは三諸と呼ばれる山や、神籬と呼ばれる木、磐座と呼ばれる石などで祭祀を行い、そこに神が宿ると信じられてきた。いいかえれば、自然そのものに神が融合していた。このような自然=神といった概念は、どこからきたのだろうか。本書は、神社の系譜を考える上で従来はあまり用いられなかった「自然暦」という視点を取り入れ、新たな切り口から神々の系譜について考える。』…本書の紹介文より引用。

冬至・夏至・春分・秋分など太陽の軌跡を基準にして祭祀の対象を配置するという原則があり、日本各地それに沿って神社の配置が決定されている、ということをたくさんの実例を挙げて考察されています。

職業柄、神社などにお参りに行くとついつい個々の建築物の作りがどうなっているか、どんな素材を使っているか、に注目してしまうことが多いです。
 しかし、境内において建築物の配置(つまり建物と建物のあいだの空白の部分)にこそ当時の人の思いが込められ、またこの本が記すようにもっと大きな視点でたくさんある神社群の相関位置関係に当時の都市計画規模での重要な意味が発現したりと大小様々なスケール感で空間構成を見る必要性を示してくれています。

真っ先に目が行きがちな、モノ自体そのものではなく、モノとモノのあいだにある“余白”の部分にこそ意味を見出す日本人独特の「間(ま)」の感覚は古より現代まで脈々と引き継がれているんでしょうね。
この感性はもっと掘り下げて日々の生活空間にも活かせるように大切にしたいと思います。

2013年1月17日木曜日

地震のこと


ずっと近畿に住んでいる僕にとって直接体験した大きな地震というと阪神・淡路大震災が鮮烈に思い出されます。
今日、1月17日であれからもう18年ですか…。



当時、僕は京都造形芸大の学生でした。
1995年のこの日の朝方、枚方市にあった家で寝ていたところとんでもない大揺れで飛び起きました。
幸い家の周辺地域は大きな被害はありませんでしたがそれでも家の中は家具が倒れたりズレたりかなり大きな揺れでした。
その日は午前中から講義があったので多少家のなかを片付けてから学校に行きましたが当時のクラスメイトや先輩、後輩のうち神戸や西宮に家のある人は甚大な被害に見まわれた様子で、その日は「大変な事になった」と学校全体で講義どころでは無かったと記憶しています。

それから明けて翌月くらいでしょうか、
建築関係者は震災地での調査や再建などに関してボランテイア作業の需要がたくさんあり、僕も建築を学ぶ学生の一人として被災地調査のお手伝いに参加しました。
実際に現地を歩いてみると見知った神戸の街が本当にボロボロになっていて、人の力では抗えない自然の脅威にただただ驚愕するばかりで本当に被災された方々のお役に立てたかどうか…。
実際に倒壊したたくさんの建物を目の当たりにした衝撃は今でも強く心の奥底に沈殿しています。

ご存知のように日本は昔から幾多の地震に襲われてきたため建築設計上の耐震のノウハウはたくさん蓄積されています。
ですので現在公的に設定されている基準に沿った強度を保つように設計していれば阪神・淡路大震災や2011年の東日本大震災クラスの地震が来ても建築物自体の倒壊によって人の命が失われるという心配はあまりしすぎなくても良いのです。
ただ、その後に起こる津波や地すべり、火事によってケガをされたり亡くなられる被害は、建物の立地そのものや住まい手さんの防災意識に因るところも大きく設計者の技術だけではどうにもならないのが実状です。

そして、最近よく耐震・免震といった技術を謳った住宅を見るたび、「この家に住んでいれば大きな地震が来ても大丈夫」と住まい手さんを安心させてしまうのはかえって防災意識を薄くしてしまう一面があるのではないかと思えるのです。

 家づくりに関わる者として、むしろそういった技術的・性能的なことを謳い文句にして住宅にとって過剰なスペックを追求していくよりも、感性に訴えかける「永く愛することのできる家」、そしてその延長上で普段から住まい手さんが防災意識を持ってメンテナンスや災害時の対策にかける手間を厭わない「日々かわいがることのできる家」をつくっていくことも結果的に「そこに住む人の命をまもる家」となり得ると考えます。
そしてそれこそが我々のような設計人に与えられた大事な役目のひとつだと改めて思い返した日でした。

2013年1月16日水曜日

団地の風景


子供の時、大阪府枚方市の招提団地に住んでいました。
団地での毎日は僕の原風景。



枚方市は大阪のベッドタウンとして大阪万博以降急速に人口の流入が多くなり、府政の下、住宅戸数の確保が急がれ、各地で同じような規格の団地がたくさん建設されていました。
招提団地はそういった物の一つです。

小学生の頃、同じ団地内の友達の家に行くと、自分の家と間取りはまったく同じなのに、部屋の使い方や置いてある家具、窓から見える景色は自分の馴染んでいるものとちがう少し浮遊感にも似た感覚を味わいました。
基本構成はまったく同じ空間なのにその上になされる生活が家ごとにまったくちがうのは(時に家によっては間取りそのものが左右対称だったり…。)子ども心に不思議な差異を感じる空間体験として今でも心に強く残っています。

当時建設された団地は「質より量」という側面があり、快適さの優先度は少し見劣りしがちなのですが、建設費用の経済性やより空間を効率的に使うという観点においてある種極まった優れた設計がなされています。
30年以上の時間を経て当時の生活を思い出してみると今現在住まいに求められている「身の丈に合わせてシンプルに、コンパクトに、住む」というニーズにぴったり当てはまる部分もたくさんあり、建築を設計する上でそこから学びとれることも多いです。

世界一美しい団地図鑑 (エクスナレッジムック)
内田 青蔵
エクスナレッジ
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…そんなことを頭のどこかに置きっぱなしにしていたまま、偶然本屋で見かけたので衝動的にこの「世界一美しい団地図鑑」を買い求めました。
団地の先駆、1927年の「同潤会代官山アパート」から今をときめく最先端の建築家がよってたかって設計した2005年の「東雲キャナルコートCODAN」まで実例の紹介による「団地」の歴史、すなわち昭和から平成にかけての日本人の家に対する考え方の変遷が郷愁もただよう写真含めて心に染みます。
ここ数十年の集合住宅の歴史においてエレベータによる縦方向移動の利便性アップと空調設置が主流になる以前と以後で、まったく平面計画が変化しています。
エレベータや空調設備による利便性の確保は、各住戸の基本的な自然通風や採光を損なう一面もあり必ずしも生活空間の質の底上げに結びついていないことは大きな発見でした。

またこの本は日本各地の代表的な団地住戸の間取り図実例やきれいな写真も多く掲載されていています。
そのため一戸建て住宅のプランを練る際にもなるべくお金をかけないように贅肉をそぎ落としてシンプルかつコンパクトで最大限広さを感じられる家をつくるためのヒントがたくさん読み取れます。
建物の基本的な構成を安価でコンパクトにすることが出来れば小さな敷地でのいわゆる狭小住宅の建築や、窓をより大きくして外光・通風をたくさん取り入れたり、家具に予算を多く割り振ったり、手触りの良い上質な壁素材を使ったりと家を作っていく上で選択の幅を広げることにつながります。

団地に縁のなかった方でも”家をつくりたい”と考えるすべての人のためになる良い本です。